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今宵のサカナ (復活)

kozumon.exblog.jp

シアトルのレストラン レビューや旅先で食べた料理、小耳に挟んだ食べ物雑学など、とりあえず食に関するネタを中心に書いてます。最近はレストラン レビューがめっきり減ってしまいましたが、おうちで作れる簡単おいしいごはんの紹介をメインにしたいなと思っています。

寿司ざんげ - 長文 (2005年7月)

さて、2週間以上にわたるスペイン ポルトガル旅行も、最後の夜をリスボンで迎えることになった(やっと終わるよ~と思ってる人も多いことでしょう)。

今までたらたらと旅行記を書き続けてきたのも、この日につなげるためだったと言えなくもない。これはざんげの日記です。書いたら私を見る目が変わるだろうなとうすうす感じつつ、書かずにはいられないので、やはり書きます。長いので、辛い方はここでやめてくださって結構です。

サグレシュ ビールですっかりほろ酔い以上に気分がよくなった私は、ポルトガル最後の夜をすばらしいディナーで決めようと、あらかじめ調べてピックアップしていた郷土料理の店に向かうべく通りに出た。今回は道順をあらかじめチェックしてあるので迷う心配もないはず。入り組んだ狭い路地を、とてもリラックスした気持ちでふらふら歩き始めた。ワイン ショップを覗いたりしながら10分ほど歩いただろうか。いずれ来るとは思っていたがまさかこんなにすぐに?ビアホールを出る前にちゃんと用を足した。それなのに。3杯のサグレシュ ビールは容赦なく私の膀胱を圧迫した。大丈夫、店まで何とかもつだろう。しかし、運の悪いことに、というか予想通り、道に迷った。どの路地をどう歩いてどう曲がっても目的地に近づかない。古い石造りの住居が続くだけで、公共トイレなど絶対なさそう。「呪いの迷宮」がまたしても頭をかすめる。やばい。だんだん足取りが速くなる。速歩きからしまいには小走りに。最果ての地リスボンでいい年をした大人が粗相をしてしまうのか。脂汗が出そうになったその瞬間、目に飛び込んできた文字。

「Japanese Restaurant Shin Bonsai」。えっ?こんなところに日本料理店?宮沢賢治の「注文の多い料理店」もちょっと頭を掠める。いや、冷静に考える余裕はなかった。店に飛び込んで、思わず日本語で「すいません、トイレ貸してください!」

すると日本人の若い寿司職人が「どーぞぉ~。」と気軽に答えてくれた。礼をいう間もなくトイレに飛び込んで、まじでぎりぎりのところで助かった。ありがとうよ、板さん。私の爪の先ほどのプライドはこれで何とか守れたよ。

お手洗いを出ようとして、次なる問題にぶちあたる。このまま、トイレありがとうございました~って、店を出ちゃっていいんだろうか?何も頼まずに?でもポルトガル最後の夜を締めくくる料理は決めてあるし。さらに、旅行中、和食は絶対に食べないというルールも破りたくない。とりあえず「冷たい麦茶あります」って書いてあるし、お茶をいただこう。と、寿司カウンターに座り冷たい麦茶を一気飲みしてしまった。五臓六腑に沁みわたるとはこのことか。するとどうしたことだろう。緊張していた心の糸がぷっつり切れたように、一瞬放心してしまった。そして、気がついたら枝豆と大ビールと茄子のしぎ焼きを頼んでいたのだ。若い板さんは気さくで、2週間ぶりに日本語を話したということが、私をいつも以上に饒舌にした。地元のネタは何かと尋ねると、ブルーフィン ツナだという。せっかくなので刺身で頼んでみた。
寿司ざんげ - 長文 (2005年7月)_e0061902_16361188.jpg

んまいよ!近海で捕れた本マグロだよ。まずいわけがない。そのうち隣に年配の日本人夫婦が座り、そちらとも話が盛り上がって、日本人が海外で英語で勝負することがいかに大変か、何て話をしながらあっという間に時間が過ぎてしまった。

しまった。もうディナーには間に合わない。でもネギトロ巻きまで食べちゃったし、かなり酔っ払ってるし、もうどうでもいい気持ちになっていた。が、ファドだけはもう一度聴いて締めくくりたい、と思い、隣のご夫婦と板さんに 「じゃあ皆さん、これからファド聴きに行きますんで。またお会いしましょう~。おいしかったですぅー。」と派手な挨拶をしながら店を出たのだった。

次の日、最悪な二日酔い。脳は麻痺状態なのにもかかわらず、何かをやり忘れた不完全燃焼な気持ちが消えない。しばらく考えて - はっ。昨夜、すし屋で、お金払ってないかも。あわてて財布の中やカードの控えを探してみたものの、勘定を払った形跡がない。人生41年目にして初めて無銭飲食、いわゆる食い逃げをしてしまったようなのだ(ここまで引っ張るかー)。

次の日店に電話をしたら定休日。スペインに戻ってからも電話したがつながらず。空港からも試みるが通じなかった。

新盆栽のみなさん、本当に申し訳ありません。特に親切な板さん、あれほどうんちくを語って食い逃げするとは私は寿司好きの片隅にもおけません。

いつの日か必ずお代を払いに参りますので、それまで待っていてください。
by seattleokami | 2006-03-03 16:07 | スペイン/ポルトガル